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マルケ州の伝統料理② 2日目

今日はロザリアシェフの2日目の授業。
今朝もイタルクックの厨房に20種以上の魚介類が運びこまれた。
下処理をした後、たくさんのお料理を作っていった。
どのお料理も興味深く、発見があり、印象に残るものだったが
すべてのお料理についての印象を書くのは長い時間を要するので、
ここでは、その中でも特に印象に残ったものだけを
ピックアップ。

・貧乏人のあさりのスープ(Vongole alla poveraccia)
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イタリア料理においての、’貧乏人の(庶民の)・・・’
という料理名がついてるものや
いわゆる’ピアットポーヴェロ’と呼ばれるレシピに出会うと、
「私たち貧乏人(農民、庶民)は、お金をかけなくったって、
こんな美味しくて体にも良いものを食べてるんだ」
という心意気を感じることがある・・・
まさに、このスープも安価な材料で、美味しくて、滋養もあって、
健康にも良いという、ピアットポーヴェロの
静かなパワーを感じさせて、印象的だった。

下の写真は、「秘密の魚の秘密な部分を使った秘密のレシピ」
ロザリアシェフはお料理を説明するときに、口元に人差し指をあてる
内緒話の可愛いポーズで、何度も「セグレート(秘密)」
という単語を使われた。
期待通りの美味しい白身魚のスープ・・・トッピングには魚の秘密な部分、
つまり肝がのっている。
レシピは無いので、いわば、幻のスープ・・。
1皿だけ試食用にトリュフもかけられた。
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そして、マルケ州の特産の乾燥麺を使ったこちらは
・カンポフィローネ いわしとトリュフのソース
(Maccheroncini di campofirone in salsa di alici e tarutufo)
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この卵麺はマルケ州にあるカンポフィローネという町で作られていて、
マルケ州ではポピュラーなものらしい。
細い麺がソースを良く吸収して、細麺の食感もよく、美味しかった。
(トリュフ入りは、皆で一皿試食&撮影用)

そして今日の数々のお料理の中でも特に印象的だったのは、
魚介のブロデットと干しだらを使った料理だった。

まず、魚介のブロデットはイタリアの海沿いの町には、
名前を変えて存在すると思われるが、
魚介類のエキスが凝縮されていて、本当に美味しかった。
ズッパ・ディ・ペッシェの類では
トスカーナで習った’カチュッコ’以来の感動だった。
10種類以上の魚介の旨味とトマト味が渾然一体となった味、
しかも生臭さを全く感じなかった。
・魚介のブロデット(Brodetto di pesce)
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そして
・干しだらのアンコーナ風
(Stoccafisso all'Anconetana)
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料理中にロザリアシェフに「ストッカフィッソはバカラとはちがいますよね?
でもベネト州ではストッカフィッソをバカラと呼ぶ地域もあると聞いたんですが・・」
と質問してみた。
すると「ストッカフィッソはバッカラではない。違う物・・・」
「どう違うものなんですか?」
と質問を重ねると・・首を横に振りながら、ストッカフィッソとバッカラは
違うもの・・・違うもの・・」
後で分かったのだが、説明には時間がかかる類の質問だったのかもしれない。
タイミングもずれて、そのやりとりは、うやむやになってしまった・・

しばらくすると、どこかでこのやりとりを見ていたエリザベッタが私を手招きで呼んだ。
彼女はイタルクックの総料理責任者ともいうべき重要な仕事をしていて、この日も、
私たちと一緒に忙しく働いている最中だった。
「ストッカフィッソとバッカラの違いは、モルトインポルタンテ(とっても重要よ)」
と言いながら、パソコンの前に連れて行ってくれた。
そして、web上での説明を検索しながら、私の疑問に対する答えを組み立ててくれたのだ。
両方とも同じ保存食用たらである。けれども製造方法が違う。
つまり、
ストッカフィッソは風にさらして干したもので、塩は少なめ。
一方、バッカラは多量の塩に漬けたもの・・・
これで本当によく分かった。

エリザベッタの食への真摯な姿勢、生徒に対する使命感に裏付けされた
愛情を感じて、胸が熱くなった。

ストッカフィッソは、お料理の、その奥深い味わいと共に、
とても印象に残る食材となった。
ロザリアシェフによるマルケ州の授業・・
中には不思議な手順・・?と感じたことや、
オモシロイ味との出会いもあった・・
そんな授業を通して見えてきたマルケ州の地域的背景や文化に興味を持った。
一つ一つの全てが、貴重な体験と感じる2日間だった。
Grazie mille!

by isolala | 2010-10-12 21:00 | 料理留学2010 | Trackback